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『パシフィック・リム』感想

パシフィック・リム観てまいりました。
 二回も映画館に行ったのは初めて。

 「ロボットアニメ好きなら観ておけ!」という熱烈な反応が周辺では見られたものの、ぶっちゃけ私はロボットアニメにはほとんど興味なし。パシフィック・リムのパの字もほとんど聞かなかったような頃に見た予告編も、なんだかCG浮きすぎて安っぽい、どこ制作だよ。
 というネガティブな第一印象から始まり、ヒロインの扱いがどうも従来のハリウッド映画とは違うらしい、くわえて日本のアニメ的でもない、と聞いてやっと「ふむ、見に行ってみるかー」と思ったくらい。
 まさかここまで琴線に来る映画だとは思いませんでした。
 見に行ってよかった。人生で初めて二回も行った価値はあった。

 以下、「なんで私はここまでパシフィック・リムを気に入ったか」を書いていきます。
 なお、私はロボットアニメに対してかなりネガティブな偏見を持っていて、そのdisりの原因がパシフィック・リムで解消されていたというのが大きな評価の一つになります。なのでロボットアニメ全般の熱心なファンの方はこの先ご遠慮ください。
 あとネタバレもあるので、まだ観てない人はとっとと映画館に行くんだ!




拍手[1回]






 上では攻撃的な言い方にならないように気をつけましたが、ぶっちゃけて言うと私はロボットアニメの大半が大嫌いです。好きなロボットアニメというとエヴァとドラえもんくらい。コードギアスも観てましたが、ロボットはほとんどどうでもよくて話の展開のさせ方が強烈だったのでそれに食いついて観てました。後は鉄腕アトムの2003年リメイク版であるところのアストロボーイやいわずと知れた名(迷?)作ビーストウォーズも好きでしたが、やっぱり理由は、ロボットだから、ではありませんでした。

 その上車や飛行機や、アシモのような実際のロボット、工場見学などを見てもあんまり心惹かれない。自分は機械にはあまり関心がない人間なんだろう、と思ってました。

 それが覆されたのは実写版トランスフォーマーを観てからです。
 もうあのアートワークはキュンキュンきました。一つ一つの小さなパーツが全体の動きに繋がるダイナミズム。あれは本当に私の中の「メカ感」を的確に表現してくれていて、すごく強烈でした。シチュエーションを色々見せてくれたのも大きかったと思います。私は平成仮面ライダーが割と好きで、特に好きなシチュエーションが「走行中のポーズをちょっと簡略化したりした変身」なんですが、あれと似たようなことをトランスフォーマーはメカでやってくれたのでもう大興奮というか。
 次にアイアンマンでも、開発中に外装の中の色々細々したメカが動いてるシーンがあって、それももう堪らなかったのですが、そこで「自分は何をフィクションのメカに求めているか」というのがはっきりしました。
 モーションです。

 日本のロボットアニメって、あまり観た数は多くないんですけど、手書きにしろ3DCGにしろ、すごく滑らかに動きますよね。
 それだけならまだ良いんですが、作画の問題なのでしょうが駆動部分がすごくあっさりしたデザインです。20メートルを越えるロボットの肘関節が一個だけとかザラ。しかも周辺には衝撃を吸収したり動きを制御するパーツがない。設定上はあるのかもしれませんが劇中では全然見ることができない。

 そういう細かい動きが全体の動きに繋がるというところにものすごく興奮するという、自分の「メカ萌え」観に気付いてしまってからはなおさらロボットアニメに興味がなくなってしまいました。

 だってどういうアニメでそういうのを見せてくれるんだよ、って。

 エヴァが好きなのは、ヒロイックさばかりが重視される中で悪役にもなりかねない異質さを感じるデザインと、厳密にはロボットではないという設定が免罪符になっている、というところがあります。ドラえもんやアトムもビーストウォーズもロボットのキャラクターが立っていて話が面白いからで、いわゆる「人が乗り込んで操縦するロボット」はほとんど嫌いと言ってもいいです。この辺は多分、幼少期にてれびくんで連載していたSDガンダムの話やたまに見かけたヒカリアンの話を観ていたことに起因しているのではないかと思っています。「人が乗って操縦するロボット」はスーパー戦隊シリーズのロボットくらいしか観ていなかったんじゃないでしょうか。で、その時も合体が凝ってるほど興奮したわけで、戦ってるところは別に好きでもなかったというところに現在の片鱗が見えます。

 それに人が乗り込んで戦うタイプのロボットアニメの、デザイン全般のダサさが許しがたいとさえ思っていました。脚長ければ許されると思ってんのか、あ?というのは某・超有名シリーズに対しての感想。戦争に巨大ロボットもリアリティがないっつーかそもそも生存自体に必死な宇宙に出かけてまで何戦争なんて寝ぼけたことやってるわけ? とさえ思っていました。

 と、長々と私のロボットアニメに対するネガティブイメージに対して語ってきましたが、このイメージがあったせいで、「日本ロボットアニメリスペクト! ファン大絶賛!」というパシフィック・リムの評価にも「( ´_ゝ`)フーン」という態度をとっていました。だって日本のロボットアニメって全然ロボットっぽくないじゃん、なんかドンパチしてるし。それリスペクトって言われても…と言う具合で。数ヶ月前に観た予告編が流行のギラギラした原色ライトと暗い背景の色使い、なんか近年のハリウッドの他作に比べて妙に安っぽいCG、というのもあって、ハリウッド制作と聞いて「えっ」と思ったくらいです。

 きっかけになったのはヒロイン・マコのジェンダー的扱いがこれまでとちょっと違うぞ、というトゥギャッター。そこではどうもロボットアニメ制作に携わったらしき監督? が「パシフィック・リム素晴らしかった! でも一つ難癖をつけるとしたらヒロインの撮り方。ヒロインがピンチのときはローアングルでふとももを嘗め回すようにじっくりねっとりと!(うろ覚え)」というツイートをしていて、「おいおいそういうセクシャルな表現で台無しにすんなよ、安易に性的サービス、ヒロインがチープな恋愛劇の相手として用意されたキャラクターじゃない、というのが良いんでしょうが」と槍玉に挙げられていたわけです。
 これでちょっと興味を持った。「ハリウッド映画として革新的」とさえ言われたヒロインの扱い、どんなものだろうかと。あとはやっぱり「トランスフォーマーやアイアンマンのハリウッドなんだからメカはまあまあ期待したい」という気持ちもありました。

 その一方でものすごくオタク受けしてたけど実際に見たら盛り上がり所は一応分かるがなぜかさっぱりのめりこんで観れずつまらない二時間を過ごしてしまった「ダークナイト」という前例があったので、それと同じようなことになったらどうしようかなあ、と思いつつとりあえず観に行きました。

 近くの上映館が3D吹き替えでしかパシフィック・リムをやっておらず、はからずも初めて3D映画を観ることに。最近なんでも3Dで上映してあんまり評判良くないけどなー、仕方ないなー、と思いつつ鑑賞開始。
 3Dは上映前の予告編だけで「あ、すごい」と思いました。特に「ゼロ・グラビティ」という映画の予告編での「宇宙に何もない空間がある」という感じが凄かった。あれは通常の映像では出せないと思います。
 さて本編が始まり、そこからは怒濤の2時間でした。一回目の時は「ぎょええええええええええええ怪獣だああああああうおおおおおおロボットだあああああああいけえええええぼくらのジプシィィィィイイイイ!!!!」みたいな感じで圧倒的に飲み込まれ、振り回されてきました。生まれて初めて「ロケットパンチ」の真似をしたくなったほどですw

 二回目も今日レイトショーで観てきました。一回目ほど大興奮というわけではありませんでしたが、それでも盛り上がるべきところでしっかり身体に鳥肌が立ってくれました。ネタバレになるけどチぇルノ・アルファとクリムゾン・タイフーンが無惨にやられ、ストライカー・エウレカも機能停止したところに駆けつけたジプシー・デンジャーの「ぼくらのジプシーが来た!」感は本当にスゴイ。浪川大輔も「行け、ジプシー! ぶちのめせぇ!」って言ってくれるしね!

 そして何より、メカがちゃんとメカしてくれてるところに感動した。さすがのハリウッドだった。拳振り上げて一旦ロックかかってから振り下ろされるところとか、怪獣を埠頭ぎりぎりで止めたところでクローズアップされるくるぶしの関節の動き! パイロットは自分の動作をフィードバックするために一部を機械につないでるんですが、ちゃんとその機械と連動した動きになってるのとかたまりませんがなマジで!!! うひょー!

 怪獣もいい具合に「怪獣」してくれてます。平成ガメラや初代ゴジラなどの、人類が巨大な力に振り回されめちゃくちゃに凌辱されていく絶望感。それでいてイェーガーたちと往年のVSシリーズのように殴り合いのプロレスやってくれるんですから、リアルタイムでガメラやゴジラを観ていた私にはたまりません。怪獣ではない、一般的な洋画で言う「クリーチャー映画」としても質の良い表現なのがさらにポイント高い。私はそっち方面も大好きです。
 ガメラといえばちょっと空中戦やってくれたのもよかったですね。あのトカゲ型怪獣(オオタチ)、酸でチェルノ溶かすし尻尾でクリムゾンの頭もぎ取るし隠してた翼で大気圏外まで飛ぼうとするし妊娠しててお子さん隠し玉に持ってたとか色々強すぎ(最初に観て翼を出したときは「飛んだァーッ!?」とマジでビックリ)。

 まあケチは色々付くんですけど(EMP〔電磁パルス〕を放ってくる怪獣に対して「ジプシーはアナログで原子力だから大丈夫だ!」ってどういう理屈なんだ、とか)とにかく勢いで持ってかれます。ここぞという時に流れるメインテーマが最高に盛り上げてくれる。今も聴きながらこの記事かいてるけどこれ劇場の大音量じゃないといまいちだね。3Dも含めてとにかく丁寧に、観客が劇中世界に没入できるよう作られてる印象。

 ケチ、ではなくてどうしても残念な点が二点。
 まずはイェーガーや怪獣もあれだけクソでかいんだから、もう少し巨大感を感じさせてくれる場面が欲しかったというところ。頻繁に建築物や人との対比は入るんですが、よーく画面を見ていないと見逃してしまいがちなところに人がいたり、普段から高層ビルを見慣れていないとスケール感がよく分からず、誰でもでかさを実感できるのがオープニングの大破して浜辺に戻ってくるシーンくらいなんですよね(あんまりにもバカでかくて笑いました)。ハリウッドゴジラは評判悪いですけど巨大感の表現という点ではやっぱりあの映画は特筆するべきものがあると思います。
 二点目は、やっぱりハリウッド製にしてはところどころCGが安っぽく、3Dの臨場感が無いといまいちになってしまいそうなところ。この表現に関する2点は個人的に残念でなりませんでした。

 ですが、まあ、「パシフィックリムは減点方式だと80点、加点方式だと2兆点」などというツイートが流れるくらいですし、私もそれには非常に頷けます。

 また、例の「女性の描き方」については確かにマコの描き方はあれで良いのだと思います。この男くさい映画に女らしさなど要らぬ! などという男性偏重な意見ではなく、確かにジェンダー論におけるフェミニズムとしてあれで良いと。できればもうちょっと頼もしいシーンがあればなお良しだとは思うのですが。
 一回目に観に行った時は「そこは王道にキスで締めても良かったんじゃねえかなあ」などと思ったりもしました。何しろそこまでの話自体が王道ど真ん中ですからね。
 ですが二回目で、マコの吹き替えを担当されている林原さんの演技のヒロイン力(ぢから)が高すぎるからそう感じるのかな、と思うようになりました。あの一晩の大部分をずっとドリフトしてたわけですから、恋人とかそういうところ飛び越えちゃってますよね。多分。お互いに額を擦り合わせるエンディングは「壮絶な戦いが終わって良かったなあ」というものなのだと思います。私は普通リア充向けハリウッド映画を好むのですが、これに関してはこれでよかったと。
 あ、でも格闘試験の時のマコこと菊池凜子さんはセクシーだったと思います。「そこは『カッコイイ』だろ」だって? 当たり前に決まってんじゃねーかそんなの。

 描き方、といえばロボットがなぜ巨大である必要があるか、というのも説得力あってよかったですね。そりゃあんだけクソでかい怪獣相手にするんだから何が何でもでかくしなきゃ対抗できない、というド直球の説得力が。アーマードコアというゲームだと、一応人が乗り込んで戦うロボットを操縦するゲームなのですが、やっぱり単なる兵器としてだとでかい人型ロボットに難があるのか、シリーズを通して10メートル前後です。このタイプのロボットだと10メートル前後がリアリティを重視したサイズと言われてる気がします。対してイェーガーは100メートル近く。ぶっ飛びすぎだろ。と思ってしまうこのサイズも相手が相手ですからね。リアリティとは理由付けに他なりません。そういえばエヴァも巨大な敵が襲ってきますね。超サイズのロボットにリアリティを出す、という方向だと巨大な侵略者に対抗するためというのが定番になるのでしょうか。他に知らないのであれですけど。

 イェーガーのデザインは何度観てもやっぱりダサいなあ、と思っちゃうのですけど、動くとしっかりかっこいい。端々に映るギミックがメカ萌えの心を充分以上にくすぐってくれました。個人的に好きなのはクリムゾン・タイフーンですね。ジプシーのロケットパンチもそうなんですが、ジェット噴射で無理に飛んだりせずに、その勢いを使ってアクロバティックな動きに繋げてくれるとすごく萌ry燃えます。俗に板野サーカスと呼ばれるような迫力ある空中戦も好きですけど、それよりはギミックを生かした戦い方をしてくれるほうがずっと良いと個人的には思っています。もっと動くところ観たかったよ…。

 まだまだ語りたいところはあるのですが、ちょっと自分でもうんざりするような長さになってきたのでこの辺でそろそろ。
 自分は土地と金銭的な理由であまり映画館で映画を見た回数が多くなく、映画館に行っただけでなんか特別なことをしているような気分になってきます。
 パシフィック・リムという映画はその特別感をすごく上手に利用してくれて、本当に映画館まで観に行ってよかったと思いました。
 ロボットアニメが好きじゃないと楽しめないぞというような仕様じゃなくて、本当に安心しましたね。特撮好きか、アニメ好きか、あるいは私のようにメカ萌えか、であるならば充分以上のものを提供してくれると思います。
 ただまあやっぱり、一般人受けはしないだろうなあ。恋愛要素をはっきりと描いてないし。
 もし次回作があれば……うーん、『2』だとせっかくのエンディングが台無しだし、「パシフィック・リム ゼロ」が観たいかな。過去編はいくらでも作れそうですよね。