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スクラップビルド

オンラインゲーム【X.A.O.C】

去年の10月からサービスを開始していたMMO、XAOCというゲームが、先日6月10日に終了しました。
 私は薊刃というPCをメインに倒福会というギルドでお世話になっており、非常に楽しく過ごさせていただきました。
 それでこのゲーム、半年と二ヶ月でサービス終了という憂き目にあってしまいましたが、ではクソゲーだったかというと決してそんなことは無く、むしろこんなによく作りこまれたゲームがこの程度しか持たないという現在の日本ゲーム市場における問題点の代表的な犠牲者とも言える立ち位置でした。(そもそも各種要素が日本では受けにくいというのはもちろんあったのですが)
 その問題点は数を上げればキリがないのですが、運営会社の悪評を広めてしまうような事柄も含まれており、そういったことを記事にするのは本意ではないので(また運営の問題点は現在の市場ひいては社会がかかえる問題点でもあり、彼らだけに責任を被せるのもまた本意ではないので)、今回は主に私が気に入った点についてのみ語っていこうと思います。


・キャラクター造形
 XAOCのキャラクター造形は昨今にしてはかなり珍しい方向です。
 それはキャラクターの顔が一昔前のMMOっぽい造形であるとか、そういうちょっとマイナスなことも含むのですが、それよりも何よりも、いわゆる人外的な造形のキャラが多数作れてNPCにも多く出てくるという、その手の人にはたまらないステキなゲームでした。私もその手の人の一人です。
 特に明確に妖怪に近い側の種族であると明言されている漠奔族草奉族
のキャラ造形は男女どちらとも素晴らしいです。

 漠奔族は北方からやってきた漠奔神という神と何らかの契りを交わした元人間で、その造形は爬虫類よろしくが目立ち、青~灰のようなモノトーンで寒色の肌が特徴です。
 男性は長い舌を持つ竜人か何かですかというような痩せぎすタイプと、大きな一つ目と牙が目立つ大男タイプの二種類からなる完全な化け物枠です。プレイヤーキャラとしてここまで化け物めいた造形で作れるゲームは最初から人間が登場しないゲームでもない限りそうそう無いと思います。
 女性は鱗に覆われた顔虹彩以外の部分が黒い眼という特徴があり、成人女性と幼女キャラの2タイプで作れます。イラストでは角があったようですが、没になったのでしょうか。
 私が使っていた薊刃というキャラはこの漠奔族の成人女性タイプだったのですが、残念なことに鱗が分かるような顔や髪型のキャラを使っているのは自分しかみたことがありませんでした。(顔の鱗はエディット時に外すことができた)

 草奉族はいわゆるハーピィ系と言いますか、頭に羽、手足に鳥の脚のような鱗、身体に羽毛と鳥の特徴を持った人間のような姿で、詳細な設定はついに明かされなかったのですが、おそらく妖怪と人間が完全に混血化した種族であるというような印象です。エディット時に選べる弥犬族という人々も妖怪との混血なのですが、こちらは更に混血が進んで一つの種族になってしまったようです。似たような混血化種族では作中に鬼乍族や魚人の種族、何の種族かは明言されませんでしたが爬虫類の尻尾のようなものが生えている人や、いわゆるケモ系のキャラは浅いものから濃いものまで幅広く出てきます。
 男性はごく普通の青年タイプと天狗じみた印象の大男タイプが作れるのですが、この種族の男性は基本的に肌の色が濃く、これもまた他のゲームでは余り見ないような黒人肌のキャラがエディットできます。特に青年男性の黒い肌は同性でもセクシーに感じると思います。
 女性は漠奔族と同じく成人女性と幼女の二種類です。私は成人女性タイプしかよく使っていなかったのでこちらしか詳しく語れないのですが、このゲームおそらく他のゲームでは絶対避けるようなところに羽毛を生やしています。
 それはなんと下乳下乳に羽毛が生えているのです!
 もっともこれは日本で運営していた時はそれがよく分かる装備が無く、台湾の本家XAOCで絆創膏下着というトチ狂ったほぼ全裸のようなきわめて露出の高い装備が出て初めて発覚しました。
 エディットで羽毛や鱗を軽減することも出来たのですが、私は鱗の生えた肌というのが大変好きなのでもちろん全開状態にしていました。

 最近人外ブームが密かに訪れているとかそんな話を聞きますがこのゲームのキャラ造形が注目されないようではまだまだ未成熟なジャンルだなあと思います。(それ以前にそういうものが好きな人たちにまったく伝わらない宣伝がアレという問題もあったのですが)

 イラストは草奉族の私のPC小天雀ちゃん。自称アイドルの鬱陶しい子という設定でした。



・フィールドデザイン
 XAOCと言えば素晴らしいのは特に建物でしょう。先ほどのようなキャラ造形は好き嫌いが分かれるとはいえ、XAOCの建築物デザインはじっくり見れば誰もが認めざるをえない素晴らしいものです。

 弥犬同盟側の序盤フィールドではかつて滅んだ街中を進んでいくことになります。この街のデザインがものすごくゴテゴテした、いかにも中華という感じで、しかもちょっとした建物がでかいのでスケール感に圧倒されます。過剰な電飾ごちゃごちゃした屋台暗澹とした空に実によく合います。

 参番政務局側の序盤は打って変わって清涼な空と美しい自然と巨大木造建築がメインの景観になります。こちらもこちらで綺麗なのですが、弥犬同盟側のみっしりとしたデザインと比べると物足りなさを感じるかもしれません。

 そんな参番側の本気が見えてくるのが中盤以降のステージ。雅之宮や将軍府で片鱗を見せていた本格的で豪奢な建築物を筆頭に、朱雀港では壮大なスケールのSFゲーもかくやという、ものすごく巨大な鉄橋(過去の鉄道路線だそうです)や湾内を横断する橋、そして濁流という世界中の負の思念がより集まったよく分からないもの(FF7を知っている方であれば、多分ライフストリームと言えば近いイメージは伝わるかしら?)を観測するために作られた、それまでの参番側の空気が一変する濁流観測所というトンネル、極めつけは濁流からあふれ出る妖怪たちを食い止めるために、戦艦が橋で繋げられ一大拠点と化した方艦城という巨大な船などの魅力的な建造物が本性を表した世界観と共に襲い掛かってきます。

 一方で中盤以降の弥犬ステージは過去の遺跡といった趣のフィールドが増えてきます。XAOCの世界は過去に科学時代という科学が発達していた時代があり、その当時の建築物に寄り添って外部の人々(参番側の地域である東道は天律之災という過去の大災害の影響から隔絶されている)が生きているので、遺跡と言っても鉄筋コンクリートの建物が主となります。
 その中でもむき出しのトラス構造鉄骨が素晴らしい棺桶市、すさまじく天井の高いアーケードに覆われた街茶鳴の桟、そして地下に潜る形で建造された、方艦城に匹敵する巨大なドーム型の建造物霊咎城は、それぞれ繊細なディテールが美しく、またこれまでの弥犬側と正反対な青い空に映えるのです(三番側と違って空は青く、建物は華美でも、全体的にモノトーンでどこか沈鬱な雰囲気が徹底されているのが良いです)。科学時代の遺産でもあり、しかし何のために存在するのか分からない概念炉もまたそそるものがあります。

 中盤のステージは参番は下水道、弥犬は悪池島という辺鄙な島が舞台で、こちらは両者とも逼迫した事情が伺える、大変貧しそうなステージなのが印象的です。

 後半は両勢力が合流し、濁流の危機に対抗するため無識の識に突入していきます。
 この無識の識は濁流が見ている夢の世界であるという抽象的な設定に基いて、かなり不気味な雰囲気になっています。赤い空青黒い土地に惹かれる方は多いでしょう。何者かも分からない夢の世界なのにしばしば遺跡のような建築物が出てくるのも、より抽象的な世界であるということを強調しているように思えます。
 またこのフィールドの終盤は赤い空が一変して真っ青な空と中心に聳え立つ巨大な氷の柱(不化氷という濁流に対抗できる性質を持つものだそうです)が印象的なステージになるのですが、前までのステージのギャップと初の巨大設置型の敵の登場でより一層異質な感じになります。青いけどモノトーン、というのは弥犬側の後半と同じ色調構成ですが、あちらはやはり建築物が多いのに比べて、こちらは遺跡のようなものがいくつか見えるだけでほぼ荒地、しかも一面に敵対する宗教勢力(ウクラ教というペストマスクを被った集団)と無識ならではの明らかに自然のそれではない怪物たちのおかげで大分印象が異なります。

 この無識の識をクリアすることで一旦話は一段落するのですが、オンラインゲームなので当然次々にコンテンツが追加されていきます。
 無識の識の次は北方にワープして雅楽書庫という雪で覆われた土地を旅することになります。
 これまでの中華的な造形から一転して、ロシアをイメージしたような服装のNPC、棺桶市異常に鉄筋コンクリートの印象が強い建築物、より洗練された意匠のロボット(!)などが出てくるのですが、残念ながら私はレベル(とPCのスペック)不足により、この土地は満足に旅をすることが出来ませんでした。
 雪に覆われた土地なのになぜ書庫という名前なのか? 北方の勢力事情は? 漠奔族は北からやってきたらしいが漠奔族のNPCは出てこないのか? などなど謎はつきませんが、惜しくもサービスが終了してしまいました。

 テクスチャが若干荒かったり、地面の繰り返しタイル模様がバレバレ(普通は分からないように工夫して制作します)など精度の低いところはもちろんあるのですが、美しさとは根本的にデザインそのものに左右されるものであるという絵描きとしての重要な点を再認識させてくれましたね。


・音楽
 XAOCといえば音楽も欠かせません。(という割には一度記事を書き上げて一日経ってから書くつもりだったことを思い出したのですが…)
 XAOCの音楽も中華風な音楽で統一されていますが、こちらはコテコテの中華という感じよりも最近の壮大な感じのゲーム音楽の影響を強く受けております。日本では中華風な音楽を聴く機会自体あまり無いですが、XAOCの音楽はこれが高いレベルで融合しており、どの曲も大変聴き応えがあります。本来ゲーム用の音楽はループさせることが前提なのですが、XAOCは本編中ではループさせているものの、サウンドトラックではほぼ全ての曲が単品で完結しています。その完成度の高さたるや、サントラはマジで万人にオススメできるレベル。iTunesで販売してるよ!
 個人的にはDialogという曲が大変好きです。曲の盛り上げが半端じゃないです。本編で流れた覚えが無いですけど。
 またテーマソングはアニメやゲームをたしなむ人なら馴染み深くなった方も多いのではないでしょうか、いとうかなこさんが担当されていました。
 このテーマソングですが、実は本編中でも採用されています。雅楽書庫突入時に流れるムービー中に、なんと本家が、こちらのテーマソングを編曲し直して流しています。
 元からかっこいい曲なんですが、再編曲されたこちらは本家スタッフのセンスが入ったためでしょうか、更にかっこよくアレンジされています。この突入時の音楽は現在本家XAOCのサイトで流れるムービーにて確認できます。また、通常のテーマソングのフル盤はパッケージ版に同梱されていました。今後いとうかなこさんのアルバムに収録されるかどうかは分かりません……。


 ひとまず、私が手放しで絶賛しておきたかったのはキャラ、フィールド、音楽のこの三点でした。
 システム面は、私は何分こんなにやりこんだオンラインゲームは初めてでMMOに詳しくないのですが、他の人によると単なるポチポチゲー(クリックするだけのゲーム)ではなくアクション性の高いシステムにしているのはこの手の設計だと結構珍しいのだそうです。
 ストーリーはMMOにおいてはあまり重視されるものというイメージが無いのですが、どうやら台湾の公式HPで配布されているアプリなどを見るに相当作りこまれているらしく、初期の誤訳や、その後多少マシになったとはいえお世辞にも上等とはいえない翻訳からではどうにも印象が薄い感じは拭えませんでしたが、きちんと読み込んでいけば、二転三転する展開や、長年いがみ合っていたことを強調していたのをしぶしぶ協力しあう、なんか味方っぽく登場したけど序盤のひょんなところから実は不穏な組織なのではないかということが読み取れるなど、燃える展開はいくつかありましたので、きちんと理解すれば面白くないということはないと思います。

 色々ありましたが、こんなゲームが半年と二ヶ月で国内から無くなってしまうというのは大変悔やまれます。売り込み方がきちんとしていれば最低でも一年は持つコンテンツだと思うのですが…。
 今現在、私は他のプレイヤーの方々と共に台湾の本家XAOCの方に移住しています。こちらの運営は大変親切で、我々海外プレイヤーのために登録情報や課金ルートを整備してくれたり、不慣れな中国語で誤解されるのを防ぐために添えた日本語の文章にまで返信してくれたりと(ただ肝心の日本語の返信の内容は支離滅裂だったそうですが…w)懇切丁寧に対応してくださっています。
 とはいえ、これだけ親切にしていただいても中国語が基本環境のプレイは外国語スキルに乏しい私(たち)には厳しいことは変わりないので、どこかに拾われて再輸入されないかなあ…、とこっそり思っています。

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